沖縄県農林水産部が本年度から、1匹当たりの肉量を増やすためヤギの品種改良事業を始めることが3日、分かった。ヤギ肉は沖縄ならではの食材としてニーズが高く飼養頭数が増加する一方、近親交配が進んだ影響などから体が小さく1匹から取れる肉量が少ない。計画的な交配によって1頭の肉量を増やし、ヤギ肉の供給増加に弾みを付け生産基盤を強化する。
事業はヤギ1匹当たりの枝肉重量を2016年度の平均27キロから、44キロまで増やすことを目標とする。県が18年度から4年間の事業として計画。一括交付金を活用し、初年度は事業費1697万5千円を計上した。
県内で家畜の改良事業の対象となるのは乳用牛、和牛、豚に続いて4例目で、肉用ヤギの改良は沖縄独自の取り組みとなる。ヤギ生産はこれまで数頭単位の小規模飼育が多かったが、改良により収益性を高め、畜産業としての基盤強化につなげる狙いだ。
4月末には県畜産課が事務局となり、県家畜改良協会や県畜産研究センター、JAおきなわなどでつくる「おきなわ山羊改良協議会」を立ち上げ、改良目標や交配計画の策定を進める。並行して家畜改良協会は体格がいい優良種ヤギの候補を県内外から絞る。19年度には優良種を導入し、農家へ精液を供給して各農家でのヤギの改良を促す。さらに肉量が多いボア種と優良個体を交配させ、より肉量の多いヤギを増産する。
ヤギは和牛などのように肉質に応じた等級評価がなく、肉量が農家の収入に直結する。県が前年度まとめた山羊(ヤギ)経営技術指標でも1匹当たりの肉量を増やすことで農家の利益が増える見通しが示された。
沖縄地区税関のまとめによると16年度の県内へのヤギ肉輸入量は107トン、県内でと畜された枝肉重量の約2倍の量が輸入された。県産品で県内消費分を補えていない実態があり、地産地消を進める。
(知念征尚)