辺野古新基地建設の県民投票 月内にも署名開始


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 名護市辺野古の新基地建設の是非を問う県民投票を巡り、県内の学者や学生でつくる「辺野古県民投票を考える会」が県民投票条例の制定を直接請求するため、月内にも署名活動を始められるように準備を進めていることが4日、分かった。金秀グループの呉屋守将会長や新垣勉弁護士らが条例制定を求める請求代表者に名を連ねる。規定の署名数が集まれば、早ければ9月の統一地方選と同日に県民投票を実施できると見込んでいる。

 新基地建設の阻止に向け、翁長雄志知事の埋め立て承認撤回の根拠にしたい考え。遅くとも5月初旬までには署名活動を始める。

 県民投票の実施には、県議会で条例を制定する必要がある。有権者が直接条例制定を請求する場合、県選挙管理委員会に届け出て告示から2カ月以内に有権者全体の50分の1以上の署名を集めなければならない。「考える会」は10分の1の署名確保を目指す。

 金秀グループの呉屋会長は資金面でも署名活動に協力する。直接請求による県民投票が実現しなかった場合、知事が提案する形での県民投票実施を模索する。

 県議会与党や経済界、市民団体でつくる「オール沖縄会議」から脱会を決めたかりゆしグループは同会議が県民投票に消極的であることを理由に挙げた。同グループは、沖縄観光コンベンションビューローの会長を務める平良朝敬氏がオーナー。県民投票への準備を進める「考える会」は今後、平良氏にも協力を求める。かりゆしは知事発議による県民投票の実施を求めてきた。

 中心となって準備を進める「考える会」の元山仁士郎氏は「県民でもう一度議論し、改めて決めたい。新基地建設に賛成する立場で県民投票を望む人がいれば歓迎したい」と語った。

 一方、県民投票の実施について議論している県議会与党では、現在も結論が出ていないが、野党自民党は、県民投票に協力しない姿勢だ。自民党議員が与党となっている市町村議会で、地元首長に県民投票に協力しないよう求める決議を採択させるなどの具体策を検討している。自民県連幹部は「そもそも県民投票実施の現実味がない。知事と距離を置く保守系市長の『チーム沖縄』の存在を考えると、投票率は5割を切る。そうなれば県民投票自体の効力が失われる」と指摘した。