沖縄の日本復帰から来月15日で46年となる。県民は平和主義、国民主権をうたう日本国憲法への復帰を望んだ。しかし不平等な米軍基地負担は今も変わらず、政府は沖縄の民意を無視して辺野古新基地建設を強行している。自治が制限される現状を復帰前に予言していたのが、元副知事の比嘉幹郎さん(87)=那覇市=だ。復帰前年の1971年に発表した沖縄自治州構想で「復帰により沖縄の自治は縮小する」と警鐘を鳴らした比嘉さんは、現在の沖縄について「日本という中央集権国家の中で自治が縮小してしまった。差別政策に反対し、自己決定権の確立を強力に進めるべきだ」と指摘する。
比嘉さんは米国留学を通して政治学を研究し、沖縄での米国領事館勤務などを通して沖縄の政治に精通する。沖縄自治州構想は米国統治下で琉球政府が立法、司法、行政の三権を担っていたことから、日本政府は復帰後もそれを認めて「自治州」とすべきだと提唱した。
比嘉さんは辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」と、1950年代の島ぐるみ闘争(土地闘争)の類似性を挙げる。「保守も革新もなくウチナーンチュとしての意識でまとまった」と語る。
その上で国と県の裁判闘争に関連し、政府関係者らの判決を絶対視するような言説を挙げて「すべての三権機関は政策を決定する。判決も政策だという視点が欠けている。政策には賛否があっていいはずだ」と批判した。
沖縄自治州構想の発表時と比べ「沖縄の状況は現在も変わっていない。日本の三権には期待できない。沖縄は自らのことを自ら決めるため、自己決定権の確立を強力に進めるべきだ」と強調した。(宮城隆尋)