2014年から15年にかけて米軍基地周辺の河川を水源とする北谷浄水場から高濃度の有機フッ素化合物(PFOS)が検出された問題で、基地との「因果関係」を判断するために重要な基地内の水質調査ができていないことが14日までに分かった。沖縄防衛局による米空軍嘉手納基地内の水質調査を米軍が許可しなかった。県企業局は「嘉手納基地が汚染源である可能性が高い」として、水質浄化などにかけた費用2億円の補償を防衛局に求めている。これに対し、防衛局は「因果関係が確認されていない」などとして補償に応じていない。
防衛局の水質調査は結局、基地外の水を採取するにとどまった。水質調査地点に基地内が含まれていないことで、浄化費用の補償を求めてきた県側からの反発が予想される。
防衛局の調査事業名は「提供施設区域内における現況調査等業務」。17年2月の入札公告によると、調査は17年9月末までで、嘉手納飛行場内の大工廻川などの地形環境、河川流況、水質の現況を把握することが目的。「結果を踏まえて今後の水質浄化対策の必要性や手法を考察する」としていた。河川水や河川の底質、地下水のPFOSの測定も調査項目に含まれていた。
この調査について防衛局は本紙の取材に、調査は終わったと回答。水質調査地点は基地内を含むのかとの問いには「全て米軍施設・区域の外だ」と答えた。調査報告書は現在取りまとめ中で、提供はできないとした。
PFOSは発がん性などのリスクが指摘され、過去に飛行場で使われた泡消火剤などに含まれていた。現在は国内での使用が原則禁止され、米軍も使用を中止した。一方、米本国やドイツでは、PFOS汚染の原因が米軍基地だと確認された事例がある。
県はPFOS検出の「因果関係」を確認するには、基地内を通る河川の上流から下流にかけた複数地点での水質調査と地形の照合が必須だと主張してきた。
(島袋良太)