全国のハンセン病回復者や支援者らでつくる「ハンセン病市民学会」の第14回総会・交流集会の最終日となった20日、分科会が沖縄県名護市済井出の沖縄愛楽園で開かれた。県内外から約400人が参加した。分科会は家族訴訟が問う国の加害責任など四つのテーマに分かれて行われ、まとめの全体会も開かれた。回復者・退所者の高齢化が進む中での地域医療・介護支援の充実や療養所の保全策、ハンセン病問題の啓発・継承の在り方など浮き彫りとなった課題を共有した。参加者は社会に根強く残る差別と偏見の解消に向け一歩踏み出すことを誓った。
家族訴訟についての分科会では、弁護団の一人、徳田靖之弁護士が基調報告し、国の隔離政策が「一般市民を加害者集団にした」と批判した。沖縄ハンセン病回復者の会共同代表を務める知念正勝さん(84)とその娘、孫も登壇した。2001年の国賠訴訟勝訴でハンセン病問題は終わったことにされていると訴え、差別解消に向けて「経験を伝えていきたい」と語った。
療養所退所者の支援体制について話し合った分科会では、回復者の会共同代表の平良仁雄さん(79)が登壇した。退所者が病歴を知られることを恐れ、地域の病院に行きづらい現状があると指摘した。「安心して地域の病院に通える支援体制の構築が必要だ」と訴えた。後遺症の治療が専門的にできる医療機関が少ないことも報告された。
愛楽園内を回るフィールドワークも行われた。参加者は沖縄戦中に入所者らが掘った壕や学校跡などを回り、園の歴史を学んだ。