承認撤回、後押し狙い 国との裁判へ民意可視化 県民投票向け署名活動


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<解説>

 「辺野古」県民投票の会が県民投票の実施を目指す狙いは、名護市辺野古の新基地建設の是非を巡る県民の民意を明確に示すことだ。そのことで翁長雄志知事による埋め立て承認撤回の判断を正当化できると考えている。県はさまざまな技術的・政治的観点から撤回を検討している。撤回後、想定される国と県との裁判で勝訴しなければ、国に埋め立てを断念させることにはつながらない。県民投票の結果により、裁判を有利に運ぶことができる―というシナリオだ。

 2016年の違法確認訴訟の判決で福岡高裁那覇支部は、4年前の翁長知事が当選した選挙をはじめ、それまでの選挙をもってしても「民意がいかなるものであるかは証拠上、明らかではない」という判断を示した。

 このため勝訴するためには、選挙ではなく、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票によって民意を明らかにする必要があるというのが会の判断だ。

 今後2カ月間で規定の署名数が集まれば市町村選管の審査を経て県知事に条例制定の請求を行い、県議会で可決されれば6カ月以内に投票が行われる。県は市町村長と協議し、協力を得る必要がある。

 1996年の県民投票は投票率59・53%で、投票者の89・09%の人が日米地位協定の見直しと基地の整理縮小に賛成票を投じた。県は総括で「県民自身がその意義を確認し主体的行動を継続していく限り、県民投票の意義が失われることはない」としている。

 県民投票に批判的な勢力、組織がある中、実施の意義について、今後どれだけ多くの県民から理解を得られるかが焦点になる。 (中村万里子)