【名護】ハンセン病に関する誤った認識や強制隔離政策の歴史を伝える資料館「沖縄愛楽園交流会館」(名護市済井出)の開館から、1日で3年となった。常設展示や企画展、シンポジウムなどを通して、ハンセン病問題に限らず「人権」「差別」などの問題について考える場を提供し続けている。
交流会館の常設展示場は、沖縄戦の砲弾の痕が残る園内の壁を再現した入り口に始まり、園内での子どもらの暮らしぶり、強制断種・堕胎で苦悩した証言などが写真や映像で展示されている。展示物は、沖縄愛楽園自治会が主体となり、約6年かけて作り上げた。
2015年の開館から3年間で1万8447人(5月30日現在)が来館するなどハンセン病問題を幅広く伝えてきた。
一方で交流会館に複雑な思いを持つ退所者もいる。学芸員の辻央(あきら)さんは、病歴を隠して生活している退所者に「展示されている写真に子ども時代の自分が写っていた」と指摘を受けたことがある。回復者への配慮と、事実を伝える大切さの重みに今も悩む。「当事者の二次被害を生まないことを大前提に、試行錯誤を重ねていきたい」と語る。
ハンセン病回復者で唯一、愛楽園ボランティアガイドを務める平良仁雄さんは、自身の病歴が発覚することにおびえる人がいる現状を変えるためにも交流会館の役割は大きいと指摘。「この現状を変えるためには歴史を残すことが大事だ。もっと私たち(当事者)が自分の口で伝えていかないといけない」と強調した。