伊良部高募集停止へ 19年入学から 人口減少で廃校に


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2019年入学生の募集を停止することが決まった県立伊良部高校=27日、宮古島市伊良部

 沖縄県教育庁は、入学者減少を受けて2019年入学生から県立伊良部高校の募集を停止することを決め、7月中にも開かれる教育委員会会議に諮り決定する。平敷昭人教育長は27日の県議会一般質問で「生徒の教育環境を第一に考えると募集停止せざるを得ない」と述べた。募集停止は実質的な廃校で、地域から県立高校がなくなった例はない。亀浜玲子氏(社民・社大・結)への答弁。

 伊良部高は、伊良部島の人口減少に伴い恒常的に定員割れしているとして、19年から募集停止し、宮古高に統合することが12~21年度の県立高等学校再編整備計画で示されていた。ただ地元から存続を求める声や、15年1月には伊良部大橋が開通したことから「子どもが増える可能性がある」として推移を見ながら、地元との意見交換を続けてきた。

 ただ開通後も、入学生は定員40人に対し15年度は24人、16年度は25人、17年度は16人と減少傾向にあり、18年度は7人にまで激減した。

 これを受けて県教委は島内にある伊良部、佐良浜の2中学の全生徒と保護者を対象にアンケートを実施し、伊良部高校への進学希望を調査した。生徒の94・9%、保護者の68・6%が回答し、同高への進学を希望したのは1年生は在籍者40人中2人、2年生は29人中1人、3年生は49人中1人にとどまった。

 これらの結果を受けて県教育庁は「募集を停止せざるを得ない状況」との判断をした。今後、さらに保護者や生徒の意見を集め、それらを合わせて7月の教育委員会会議に提出し、判断を求める。

 募集停止が決定されれば、来年度から新1年生は入学しない。在籍する生徒が宮古高に合流するのか、伊良部高に残るかなどは「保護者の意見を聞きながら検討したい」(県教育庁担当者)としている。宮古高への編入であれば、クラス数も増やさずに対応できるため特別な準備はしていないという。
 伊良部高校は1984年4月に設置された宮古高校伊良部分校が、86年4月に伊良部高校として独立し開校した。