交付金論戦、平行線に 名護市議会一般質問終了 市長、正面から答えず 野党追及は迫力不足


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 沖縄県の名護市議会6月議会定例会一般質問が27日終了した。焦点となったのは、基地建設に協力姿勢を示したことで得られる再編交付金だ。米軍普天間飛行場の辺野古移設を認めない野党市議と、渡具知武豊市長の答弁はかみ合わず、議論は終始、平行線をたどった。基地建設に対して追及を強める野党市議がいる一方、9月の市議選を意識してか、再編交付金や辺野古移設問題を問わない市議もおり、論戦は低調に終わった。

 「新基地が建設されることで、住民の生活と安全に及ぼす影響が増すのを認めるのか」。26日、辺野古移設について「容認でも反対でもない」と従来の答弁を繰り返す市長に対し仲村善幸氏が追及すると、渡具知市長が言いよどむ場面があった。

 「今後、シュワブ周辺の住民の負担が増加していく…増加をしていくから再編交付金が交付されるというような話になっている…」と言葉に詰まり、休憩を挟んだ。

 答弁再開後も「負担は増加していくということの話の中において…普天間飛行場の…ちょっと待ってください」とし「基地負担は増えないことが望ましい。私の辺野古移設の立場は『裁判を注視する』だ」と同じ答弁を繰り返した。再編交付金を受け取ることで基地建設を認めたことになるとの指摘に対し、ほとんど正面から答えなかった。

 ただ、そんな答弁に対し、野党の追及は総じて消極的だった。市幹部も「いつもはこんな感じじゃない。とてもおとなしかった」と振り返る。別の野党市議は閉会後「給食費を無償化できるのであれば、国の予算を使えばいいという声もある。市議選前なので、それぞれ気にしながら対応していた。慎重だった」と話す。

 再編交付金を活用した補正予算案は7月2日の本会議で採決される。野党は給食費や保育料無償化に賛成する意向だが「基地建設と引き替えの再編交付金は認められない」として、再編交付金を除いた修正予算案を提案する考えだ。
 (阪口彩子)