【キラリ大地で】アメリカ NYでスタジオ経営 大城宜成さん(宜野湾市出身)


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「音」で人とつながる

 

多彩な催しを通して「音」にこだわったコミュニティー作りに取り組む大城宜成さん=6月、米ニューヨークの「ディケイター・オーディオ・ラボラトリーズ」

 米ニューヨークで「音」にこだわったコミュニティー作りに取り組む大城宜成さん(48)=宜野湾市出身。「良い音で音楽を聴かせる場所を提供したい」と、ブルックリンにある自身のスタジオ「ディケイター・オーディオ・ラボラトリーズ」を拠点にさまざまな分野の人とつながりながら、ダンスイベントや音響セミナーなど、幅広いイベントを開催している。

 幼い頃から家には「音」に関する物があふれていた。3人の兄たちはそれぞれアマチュアバンドを趣味にし、ギターやサックス、ドラムなどの楽器に触れた。大城さんも14歳の頃にお年玉でベースを買った。学校の勉強には興味がなく「ウーマクーだった」という普天間高校時代。フュージョン系のバンドを始め、学園祭で演奏したり、ライブハウスを借りてイベントを開催したりと音楽に情熱を傾けた。

 高校卒業後は沖縄市のクラブ「ジョージワシントン」でDJとして働き、音楽の幅が広がった。キューバやブラジル音楽にはまり、海外移住を決意。治安などを考え、23歳で渡った街がニューヨークだった。

 新しい刺激を吸収する中で「ニューヨークのスタイルは音質より音圧重視の傾向があった」ことに疑問を感じた。音響に興味を持ち、ターンテーブルやスピーカー作りに挑戦しながら「ないなら自分たちで作ろう」と良い音にこだわる場所作りを14年前に始めた。

 6月から計5回に渡り、世界的に著名な伝説のエンジニア、アレックス・ロズナーさんを講師に招いた参加型音響セミナーを開催。米国外からの参加者も含め、クラブの経営者や雑誌編集者、プロデューサーなどが「本物」の技術に耳を傾けた。休憩時間には、妻新垣裕美子さん=久米島出身=の手作り野菜スープが振る舞われ、まるで「家」のように人をつなげる空間が広がる。

 「物事は視点を変えることで違って見える。想像して具現化する楽しさを沖縄の人たちにも感じてほしいし、そうすることでより豊かに楽しく生きていくことができる」と話す大城さん。将来は沖縄とニューヨークを行き来し「沖縄のアーティストも交えたコミュニティーを形成すること」が夢だ。
(座波幸代ワシントン特派員)