辺野古埋め立て 県、31日にも承認撤回 工事の違法性15項目認定


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米軍キャンプ・シュワブ沿岸域の埋め立て区域「2-1」部分(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、県は前知事が許可した辺野古沿岸の公有水面埋め立て承認を31日にも撤回することを決めた。関係者によると、撤回を判断する手続きとして沖縄防衛局から弁明を聞いた「聴聞」の報告書で、県総務部の聴聞主宰者は、県側が国の工事の違法性を指摘した18項目のうち15項目で違法性を認定した。翁長雄志知事の死去に伴い職務代理を務める富川盛武副知事と、撤回に関する権限を委任された謝花喜一郎副知事は29日までに弁護士との法的な調整を終え、聴聞報告書に基づき撤回処分を実行する方針を確認した。

 承認撤回に向けて行政手続法にのっとって開催された今月9日の聴聞は、県総務部行政管理課長が中立の立場で聴聞を主宰した。県が実施しようとする不利益処分に対し、工事は正当だとする沖縄防衛局の言い分を聞き、その主張に理由があるかどうかを20日に報告書にまとめた。

 関係者によると、報告書は、県が撤回の原因とした防衛局工事の留意事項違反や事後的不充足など18項目の事実について、3項目で国の反論を採用した。一方で、軟弱地盤の存在が明らかになったことによる防災上の指摘や、サンゴ類の移植に関わる特別採捕や環境保全対策など15項目について、防衛局の主張には理由がないと結論付けた。

 謝花副知事は29日、記者団に撤回の時期を問われ「(故翁長雄志)知事の意向も受けて道筋はつくっていただいたので、それに従って作業をしている。最終段階だ。整った段階で表明する。(報告書の精査は)終わっている」と述べた。

 今月17日以降、国は埋め立て海域への土砂の投入を始められるようになっている。これに対し、県が埋め立て承認を撤回することで国は工事を進める根拠を失い、土砂投入をはじめとする海上工事はできなくなる。政府は、県の承認撤回の効力停止を裁判所に申し立てるなど対抗措置を講じる方針で、国と県の対決は再び法廷闘争に入る見通しだ。