泡盛かすで藻場形成 沖縄県内初、実証試験始まる


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 【国頭】沖坤(名護市)とバイオジェット(うるま市)、鹿児島共和コンクリート工業は13日、泡盛の蒸留かすを使用した「アミノ酸含有マグネシウム固化体」で藻場を形成する実証試験を始めた。「環境機能付加型魚礁」として、県内で初めての取り組みとなる。

泡盛の蒸留かすを活用した「アミノ酸含有マグネシウム固化体」の設置作業=13日、国頭村(沖坤提供)

 固化体は、泡盛の蒸留かすを全体の約23%使用することで、環境への負荷を抑え、海洋性微生物が付着しやすくなると期待される。藻場が形成されれば、漁獲量の増加が見込まれる。

 13日、国頭漁協の協力を得て、国頭村の辺土名漁港から約500メートル沖合に固化体10個と、従来のコンクリート10個を水深約4メートルの砂場に沈めた。今後、固化体とコンクリートを比較して藻場の造成状態を追跡調査する。

 バイオジェットの塚原正俊CEOは「沖縄ならではの産物を使い、自然にやさしい製品を活用する。従来のコンクリートよりも微生物が付着しやすくなり、それによって生態系が豊かになり水質改善の効果も得られる」と意気込んだ。

 琉球泡盛蒸留粕事業協同組合の松田亮理事長によると、泡盛の蒸留かすは約1割をもろみ酢などに活用するが、約9割はそのまま廃棄している。松田理事長は「蒸留かすは量が多くて余っている状態。新たな取り組みとして成功するとうれしい」と話した。国頭漁協の大嶺嘉昭組合長は「今は全体的に藻場が減少しているので期待する」と話した。

 県商工労働部の県産業振興基金事業を活用した。事業費は約500万円。