県民投票に反対意見書


この記事を書いた人 琉球新報社
名護市辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票に反対する意見書を可決する石垣市議会=17日、市議会

石垣市議会 賛成多数で可決

【石垣】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う埋め立ての是非を問う県民投票条例案を巡り、石垣市議会(平良秀之議長)は17日の9月定例会最終本会議で、与党側が提出した県民投票に反対する意見書を賛成12人、反対8人(退席1人)の賛成多数で可決した。県民投票に反対する意見書の可決は県内で初めて。

 保守系与党11人と保守系野党1人が賛成し、野党8人が反対した。与党の公明1人は退席した。意見書の宛先は県知事と県議会議長、地元選出県議。

 意見書では県民投票について「計画の主眼である危険性の除去について県民の意思を示すものではない」と指摘。移設反対の世論形成や知事の埋め立て承認撤回を後押しするものだとし「国との裁判を見据えて有利に運ぶ理由を整えることを目的とする内容で、一定の政治的主義主張に公費を使用して訴えるものだ」とした。「国防・安全保障に関することに住民投票はそぐわない」との認識も示した。

 反対した野党議員のうち7人は議会後に急きょ会見を開いた。「法的手続きを踏んだ行為に対する議会による否定は県民への圧力であり、民主主義の否定だ」「県民投票の否定ありきだ。選挙での『住民の声を聞く』という主張は何だったのか」「埋め立てに賛成と反対の意見がある中で自ら判断しようとする直接民主主義の否定は悲しい」などと意見書可決を強く批判した。

予算否決なら投票できず

 【石垣】県民投票条例案が来週に県議会で可決される見通しの中、石垣市議会は名護市辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票に反対する意見書を可決した。意見書に法的拘束力はないものの、市議会がこのまま反対姿勢を維持した場合、石垣市では県民投票が実施できないことになる。

 県民投票の実施において、投開票などの事務は市町村に委託される予定。各市町村はその経費に関する補正予算を議会に諮る必要がある。辺野古新基地建設問題対策課は「議会が予算を認めなければ、執行する予算が伴わないので該当地域で県民投票は実施できない」とする。

 ただ市議会与党議員は「条例案の内容がそのままならば、補正予算への対応も基本的には変わらないだろう」と話しており、石垣市で県民投票が行われるかは見通せない。

 同課によると地方自治法の解釈上、市町村は委託された事務を処理する義務を負う。一方で事務を市町村に委託するため、県知事にその指揮監督権はない。そのため、そもそも首長が議会に補正予算を提案しない事態が生じても、「強制力はない」という。

 中山義隆市長は17日の議会終了後、報道陣に県民投票への対応について「県議会の議論の結果を待ちたい」とした一方で「知事選で大差の結果が出ているので、県民投票であえて諮る必要があるのかとの思いはある」と述べた。

 辺野古対策課の担当者は「県民投票に対応してもらえるように、協議を続けたい」と話した。