ノロの生活、鮮明に 那覇市、末吉公園内に屋敷跡を発掘


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調査で全貌が表れたノロ殿内跡。手前右の石積みは馬屋の跡とみられる=11月2日、那覇市の末吉公園内(那覇市文化財課提供)

 沖縄県那覇市の那覇市文化財課は末吉公園内で8日までに、末吉村の行事をつかさどるノロの屋敷「ノロ殿内(どぅんち)」跡を発掘した。ノロ殿内跡が発掘されたのは那覇市で初めて。屋敷には、ノロが琉球王国時代から住んでいたとみられる。

 市は10日午前10~11時、ノロ殿内跡の現地説明会を発掘場所の末吉公園内で行う。文化財課主任学芸員の吉田健太さんは「当時のノロの生活様式の一端を知ることができる。ぜひ見に来てほしい」と呼び掛けた。

 末吉公園の整備に伴い、那覇市は2015年から末吉村跡の発掘調査を進めてきた。遺構は記録保存される予定。

 屋敷跡の敷地面積は約500平方メートル。馬屋や「フール」と呼ばれる豚小屋を兼ねた便所、ヒンプンとみられる石積みのほか、石畳など、屋敷内の配置が分かる形で発見された。ノロが住む屋敷にしかない拝所と推測される場所もあった。

 末吉村は、現在の那覇市首里末吉町で、1670年ごろに西原間切に移管し、1920年に首里区に編入された。村の拝所は末吉ノロが管轄していたと言われている。遺構自体は近世のものとみられるが、市は「詳しい年代については今後調査を進める」としている。