公有水面の埋立承認については、処分の名宛人が国の機関に限定されているものであり、沖縄防衛局長は一般私人の立ち得ない立場、すなわち、「固有の資格」において前記取消処分の名宛人となったものだから、行政不服審査法第7条第2項により同法の適用は除外され、沖縄防衛局長には行政不服審査法に基づく執行停止申立ての適格は認められず、貴職は、申立適格を欠いた不適法な執行停止申立てにより執行停止決定をする権限はない。それにも関わらずなされた本件決定の違法性は明らかだ。
この点、貴職は、本件執行停止決定に付された理由において、行政不服審査法第2条にいう「処分」に該当するから、同法第7条第2項にいう「固有の資格」に該当しないとすることは論理をなすものではない。すなわち、行政不服審査法は第1条第2項において「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」と「処分」の定義をしているから、同法に「処分」という語が用いられている場合には同義であり、同法第2条の「処分」と同法第7条第2項の「処分」は同義だ。
同法第7条第2項は、国の機関等に対する処分のうち、国の機関等が「固有の資格」において処分の名宛人となっている場合には行政不服審査法の適用が除外されるものとしている。国の機関等に対する「処分」には、「固有の資格」において処分の名宛人となる場合とそれ以外の立場(一般私人と同様の立場)において処分の名宛人となる場合があることは明らかであり、「処分」に該当するから「固有の資格」に該当しないという論理は成り立ち得ない。貴職が執行停止決定に付した理由は一見明白に不合理なものであり、本件執行停止決定の違法性は明らかだ。
本件執行停止決定に付された理由が行政不服審査法の解釈として成り立ち得ないことは明らかであり、また、国土交通省の前身である運輸省・建設省の発した行政手続法の適用を受ける公有水面埋立法における処分についての理解との整合性を欠いていることは明らかであるから、貴職において再考され、直ちに本件執行停止決定を取り消すことを求める。取り消さない場合には、地方自治法第250条の13第1項の規定に基づき、国地方係争処理委員会に審査を申し出ることになるので、同条第7項の規定に基づき、あらかじめ通知する。