「ハンセン病、偏見なくそう」 市民学会 来年5月、先島で初開催


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来年5月に開催予定の「第15回ハンセン病市民学会総会・交流集会」の宮古・八重山開催について発表する実行委員ら=18日、宮古島市の宮古南静園自治会会議室
知念正勝さん

 【宮古島】来年5月18~20日に石垣市、宮古島市での開催を予定している「第15回ハンセン病市民学会総会・交流集会」(ハンセン病市民学会主催)の現地実行委員会が発足し、宮古島市の宮古南静園で18日、同委員らが開催概要などについて説明した。実行委の共同代表に就任した「沖縄ハンセン病回復者の会」代表の知念正勝さんは「ハンセン病はまだ終わっていない。退所者が隠れずに堂々と生きていける社会を実現するための大会にしたい」と強調した。

 市民学会は2019年5月18日に石垣市の石垣市民会館、19、20日には宮古島市のマティダ市民劇場、宮古南静園で開かれる。県内離島での開催は初。共同代表には知念さんのほか、「八重山のハンセン病問題を考える会」代表の大田静男さん、宮古南静園元園長の伊志嶺亮さんが就任した。

 大田さんは八重山地域に療養施設がないことに言及し、「故郷に帰りたくても帰れず、社会にも溶け込めない回復者がいるのが現状だ。病への根深い偏見はまだまだ拭えておらず、学会を通して少しでも多くの人にハンセン病のことを正しく理解してもらいたい」と述べた。実行委に参加しているハンセン病家族訴訟弁護団長の徳田靖之弁護士は「ハンセン病家族訴訟の判決が来年3月末に出る。判決を受けて、まだまだ隠れて暮らしている人たちの今後の裁判参加への道をどう開いていくかも大きなテーマとなる」と話した。

 市民学会ではハンセン病回復者の抱える課題について考えるシンポジウムや、熊本県で現在係争中のハンセン病家族訴訟、ハンセン病療養所の歴史資料館の在り方について議論する分科会などを開く予定。