沖縄県議会文教厚生委員会(狩俣信子委員長)は13日、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表(64)を参考人招致した。具志堅代表は糸満市の「魂魄の塔」に対馬丸の犠牲者らの遺骨が残っている可能性があるとし、塔の内部の確認を求める陳情を出している。当時10歳の弟を失った遺族の又吉正子さん(87)も補助参加し、「一日も早く弟を両親と同じお墓に一緒にしてあげたい」と涙ながらに訴えた。
参考人質疑後の委員会で、県平和援護・男女参画課の大濱靖課長は、魂魄の塔は遺族連合会が管理者のため、調査をするには同会の了承が必要だとの見解を示した上で「身内を探している遺族の気持ちも分かる。県としても遺族連合会に相談したい」と前向きな姿勢を示した。
疎開学童らを乗せた「対馬丸」は1944年8月、米軍潜水艦の魚雷攻撃で沈没し、多くの犠牲者を出した。県などによると犠牲者のうち105人の遺骨は、50年に奄美大島から沖縄に戻ったが、引き取り手が見つからなかった分は魂魄の塔に納められた。その後、那覇市の中央納骨所を経て国立戦没者墓苑に移されたとの記録や証言が残っているという。生存者で対馬丸記念会理事長の高良政勝さん(78)も補助参加。遺骨の全てが移されたわけではなく、塔の中に残っている可能性はあるとし「一日も早く調べてほしい」と話した。又吉さんは「確認してくだされば、すとんと落ちるものがある」と切実に語った。
県によると、県内には440カ所の沖縄戦戦没者の慰霊塔・碑がある。県は2012年度に実施した慰霊塔の調査を基に、本年度も聞き取りベースで管理状況を調査している。具志堅代表は沖縄師範健児之塔など、遺骨が残っているといわれる慰霊塔・碑は県内に複数あるとし、聞き取りではなく目視で調べてほしいと主張。「戦後処理の責任は一義的には国にあるが、同じウチナーンチュとしてやれることがある」と強調し、県の協力を求めた。