「はいたいコラム」 「災」には備え、知恵で分散


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 島んちゅのみなさん、はいた~い!今年も残すところあと2週間、皆さんはどんな1年でしたか。

 この1年を漢字で表すと「災」。多くの災害が全国で相次ぎました。被災された方々とは比べようもありませんが、台風による欠航、遅延、大会の中止などを、私もいくつも経験しました。

 つい先週も、札幌で講演を終えて新千歳空港へ向かったところ、見る見る大雪が滑走路に降り積もり、他の便が欠航になる中、3時間半の遅延となりました。翌日に関西での講演を控えていたので、今後はスケジュール管理を考え直さなくてはいけないなと思いました。

 これからの災害対策で必要なのは、「減災」の視点だと言われます。災害は起こるものとして計画を立て、被害を減らすリスク管理です。

 先日、農研機構は、温暖化による気候変動の影響で、穀物の収量が減り、世界全体での被害額は4・6兆円に上ると発表しました。輸出国で異常気象が続けば、日本に穀物は入って来ません。食料の安定供給を考えると、限られた国に依存するだけでなく、自国やさまざまな地域で生産をすることが、リスクの分散になります。

 大雪の北海道で、なるほどな、と考えさせられるニュースを見つけました。人手不足解消に、沖縄県農協とふらの農協(北海道)と西宇和農協(愛媛県)が連携して、アルバイトを融通し合うというのです。12~3月のサトウキビの時期は沖縄、4~10月はふらのでメロンやミニトマトなど、11月と12月は西宇和でみかんの収穫と、それぞれの農繁期にアルバイトが渡り歩くのです。もし私が求職中であったら、そんなアルバイトを経験してみたいと思いました。仕事をしながら日本列島を旅するなんて、どんな学校よりもこの国の文化を知ることができるでしょう。そのうち気に入った土地に移住する人も出てくるかもしれません。連携先とは労働力だけでなく、災いもシェアして助け合うことができます。

 これから求められているのは、こうした小さな地域や組織間の連携や協定ではないでしょうか。天災はこれからもやって来る。しかしそれを転じて「福」となせるのが、私たちに与えられた知恵と希望です。仲良きことは美しきかな。遠くの親戚とも近くの隣人とも手をつなぐ時代です。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ・高知県育ち。NHK介護百人一首司会。介護・福祉、食・農業をテーマに講演などで活躍。野菜を作るベジアナとして農の多様性を提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)