【名護】名護市議会は21日、辺野古への新基地建設に協力姿勢を示したことで得られる米軍再編交付金を盛り込んだ補正予算案を賛成多数で可決した。6月議会や9月議会と異なり、賛成に回った野党議員は増えた。野党は、6月議会で再編交付金は「新基地の見返り」として反対姿勢を明確にしていたが、新基地建設を事実上容認する渡具知武豊市長の下で「予算には反対できない」として、再編交付金を否定し続けることを困難視する。一方で「政府の思う通りになっており、市議会が機能しなくなる」と懸念する声もある。
21日の12月定例会本会議で、再編交付金約4億2652万円を盛り込んだ補正予算案が可決した。賛成18、反対3、退席4だった。6、9月議会で野党は再編交付金を除いた補正予算の修正案を提出していたが、今回は提出しなかった。
6月議会では渡具知市長が修正案に再議権を発動し、野党は全員退席して採決に加わらないなど議会は紛糾した。一方、9月の市議選以降、野党の中には再編交付金を認める動きが出始めた。
野党の大城敬人市議は採決前の反対討論で「再編交付金を除く予算は賛成だが、再編交付金は基地と引き替えにもらうものだ。新しい基地負担を除外するためにも再編交付金に頼らない財政運営を本来はやるべきだ。今までも再編交付金に頼らずにできてきた」と強調した。
一方、与党の比嘉拓也市議は「使える予算を使って市民サービス向上のため認めるべきだ」と賛成の意見を述べた。
6、9月議会で再編交付金を認めない修正案を提出した比嘉勝彦市議は今回は賛成した。比嘉氏は「気持ち的にはノーだが、市民が求めている。葛藤した複雑な中でやってる」と説明した。
6、9月議会に引き続き採決で退席した仲村善幸市議は「本当は反対したいが、退席という手段を取らざるを得ないジレンマがある。再編交付金に関しては、野党がまとまらなかった」と述べた。
9月議会から賛成を掲げる小濱守男市議は「現市長の下で4年間予算案を反対することはできない。辺野古反対の気持ちはあっても地元は要望を出してくるので、勝手な言い分で予算を否定することはできない」と主張した。
渡具知市長は前市政の8年間で交付されなかった再編交付金約118億に代わる予算措置を岩屋毅防衛相に求めている。政府は県を飛び越えて市町村に直接交付する新たな交付金を創設するなど新たな動きも見える。新基地建設の国策の下で野党は「反対カラー」を打ち出せず手探り状態が続いている。
(阪口彩子)