沖縄防衛局は27日までに、2010年から米軍普天間飛行場周辺で実施している米軍機の航跡調査結果のウェブサイト上での公表を中止した。担当者が同日、本紙の取材に明らかにした。月別の航跡は嘉手納町の防衛局に行けば閲覧可能だが、詳細を記載した「飛行状況調査報告書」は閲覧できなくなった。防衛局は米側から掲載に懸念が示されたことと、技術的な限界で結果に誤差があることを理由に挙げた。
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「政府として地域の安全に果たすべき責任が後退している」と指摘した。
日米両政府は04年の米軍ヘリ沖国大墜落事故後、安全策として普天間飛行場の場周経路を見直した。調査は順守状況を確かめるため10年1月から実施している。防衛局は調査開始から17年3月までの結果をウェブサイトに掲載していたが、27日までに過去の分も削除した。
防衛局の担当者は米側から「国際社会における米軍に対する脅威を踏まえ、航空機の運用に係る情報保全にはより厳しい考慮が必要だ」との認識が示されたと説明した。
普天間飛行場は街中に基地があり、騒音や生活の安全に政府が責任を負っている。通常と異なる経路を飛行したり、幼稚園の園庭に物が落ちたりしている。通常の経路とどう違うのかを調査して公表するのは、政府の責任としてやらなければならないことだ。
米側から懸念が示されたとしても、日本側の必要性に基づいて作って公表していたはずなので、指示に従う必要はなく、懸念が示されて削除するというのは沖縄防衛局の過剰反応ではないか。これは情報公開としてだけの話ではなく、政府として地域の安全に果たすべき責任が後退したということだ。