【南風原】沖縄戦・精神保健研究会主催の市民公開講座「もう一つの沖縄戦―戦後の性暴力と向き合う―」が12日、沖縄県南風原町の南風原文化センターで開かれた。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の高里鈴代共同代表らが登壇し、沖縄戦における慰安婦の問題や、沖縄に集中する米軍基地に関連する性犯罪などについて問題提起した。高里さんは「社会をリードする人たちの中にも、米軍の訓練の中にも(県民に対する)差別意識がある」と指摘し、沖縄は「今も危険と隣り合わせだ」と訴えた。
高里さんは講演で、日本軍が沖縄に設けた慰安所は145カ所あり、日本軍からも米軍からも「性的攻撃という『新たな戦争』があった」と指摘した。米軍による性被害は上陸直後から始まり、「男性も子どもも含め、住民全体が被害におびえていた」と報告した。また高里さんは、各市町村史や新聞記事などから被害者の証言を集めて紹介し、そうした被害を目撃した県民も、性的暴行を目撃しても助けることができずに苦しんでいたと説明した。
高里さんは、現在も沖縄で米軍基地に関連する性被害が続いていることの背景について、米軍にも日本社会にも差別意識が根深く残っていることを指摘した。その上で「被害者の声をしっかり聞き、受け止めなければならない。過去の性暴力を明らかにしなければならない」と述べ、日米地位協定の改定を訴えたほか、名護市辺野古への新基地建設を許さないとの考えを改めて強調した。講座では同志社大学(奄美・沖縄・琉球)研究センターの森亜紀子氏も登壇した。