米軍普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古の埋め立て予定海域に軟弱地盤が存在する問題で、政府が大浦湾の海域約57ヘクタールの地盤改良のため、砂の杭約6万本を水深70メートルまで打ち込む工事を検討していることが31日、分かった。沖縄防衛局は昨年末まで、使用する砂杭は護岸部で2万本、埋め立て部で2万本の計4万本という想定を国土交通省や県に示していたが、追加で実施したボーリング調査結果を加味したところ、さらなる強化が必要になると判断し、今年に入ってから使用量の想定を計6万本まで増やしていた。
こうした工法による軟弱地盤の改良工事を実施するため、安倍晋三首相は31日の衆院本会議の代表質問で、政府として計画変更の承認を県に申請することに初めて言及した。
これに対し玉城デニー知事は「まさにわれわれが撤回の事由に挙げていた軟弱地盤の存在を、国が認めた。政府は即刻工事を中止して県と協議するべきだ」と工事中止を訴え、変更承認に応じない見通しとなっている。
国が検討する改良工事は、防衛局の委託業者が作成した報告書で、大浦湾の軟弱地盤に対応可能な工法として記載されている。
約6万本の内訳は、強く締め固めた砂杭を地盤に打ち込んで密度を高める「サンドコンパクションパイル」と呼ばれる工法を使う護岸・岸壁部で、約4万本を使用する。砂杭を打ち込んで地盤の水分を抜く「サンドドレーン」と呼ばれる工法を使う埋め立て部で、約2万本を使用する。
改良面積は護岸部分などが約17ヘクタール、埋め立て部が約40ヘクタール。いずれも水深70メートルまで改良することを想定している。
昨年12月時点では使用する砂杭を約4万本と想定していたことについて、政府関係者は「本格的検討はこれからなので実際何本になるかは不透明だ。工期や費用について指摘されている中、(本数は)少なくしたい」と語った。
安倍首相は30日に、大浦湾側に軟弱地盤が存在し、地盤改良の必要があることを政府として初めて明言した。この時は変更申請については触れなかったが、31日の本会議で「地盤改良工事の追加に伴い、沖縄県に対して変更承認申請を行う必要があるため、まずは沖縄防衛局で必要な検討を行っていく」と説明した。共産党の志位和夫委員長に対する答弁。