百年古酒へ仕次ぎ再開 提唱者・土屋さん遺志継ぎ 「泡盛文化を継承」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
22年目を迎えた泡盛の原酒に、新酒を入れて仕次ぎをする参加者=11日、糸満市のまさひろ酒造

 【糸満】県泡盛同好会副会長などを務めた故・土屋實幸さん(享年73)を中心に1997年から始まった「泡盛百年古酒造り」の仕次ぎが11日、糸満市西崎のまさひろ酒造であった。仕次ぎは土屋さんを中心に続けていたが、2015年3月に亡くなった後、中断していた。同日は泡盛百年古酒造りの賛同者らが集まり、「泡盛文化と土屋さんの思いをつなぎ、百年古酒を完成させよう」と、22年の原酒に新酒を注ぎ、4年ぶりに仕次ぎを再開させた。

 土屋さんは、那覇市安里の栄町にある泡盛と琉球料理の店「うりずん」のオーナーで、県泡盛同好会副会長も務めていた。戦前まで存在した泡盛百年古酒を「今からでも造ってみよう」と賛同者を募り、97年に三石甕(がめ)5本分を造った。
 土屋さんが亡くなった後、「土屋さんの思いと古酒造りを、ここで途絶えさせてはいけない」と仕次ぎの再開を計画したのは、泡盛百年古酒元年管理運営理事会の知念博理事長らだ。
 「土屋さんから生前、『みんなから預かった財産を、どうにか百年守ってほしい』と、遺言のように言われていた」という知念理事長。「古酒造りは人と人をつなげる。彼の思いと一緒に、泡盛文化も継承したい」と話し、仕次ぎの前には22年育った古酒を参加者に振る舞った。
 賛同者の一人である県泡盛同好会の上間信久会長は「22年で、まろやかでこくのある味に育っている。百年古酒造りには人のつながりが必要だ。これが完成すれば海外からも人が集まり、国の垣根を越えたつながりが生まれる」と話し、笑顔で成長途中の古酒を味わった。