近畿大学(大阪府・細井美彦学長)は12日、沖縄県名護市済井出(すむいで)で養殖事業をするツナドリーム沖縄(森賢亮代表取締役)が出荷サイズの成魚になるまで完全養殖したクロマグロを「近大マグロ」ブランドに認定した。同社は年内に900匹の販売を予定している。
近大マグロの認定は、(1)近畿大の指導の下で同大と同等の飼育技術レベルにある(2)人工ふ化から育成したクロマグロである(3)実際に食べた客のアンケートで高い評価を得られる―を基準としている。2月16、17の両日、近畿大水産研究所の店舗で試食アンケート調査をした結果、味、歯応え、見た目、香りの全てで、7割以上の客が高い評価をした。さっぱりとした味わいが特徴という。
同研究所の升間主計所長は、同社のマグロについて「色合いが非常に良く仕上がっている。赤身の色合いを重視する市場もあるので期待できる」と話した。
ツナドリーム沖縄は2014年に設立し、近畿大の技術指導を受けて養殖を進めてきた。同社は近畿大とともに水産養殖事業を進める豊田通商(名古屋市、貸谷伊知郎社長)のグループ会社。近大マグロの認定は、同じくグループ会社のツナドリーム五島に続き2件目となる。天然資源が減少する中で完全養殖によるクロマグロの持続的、安定的な供給を図り、国内外で流通体制を強化していく方針。
12日に東京都の近畿大水産研究所銀座店で開かれた認定式では、豊田通商の服部治行執行役員が「近大マグロの認定は、共同事業推進の成果で光栄に思う」とあいさつした。