【東京】名護市辺野古の新基地建設を巡る軟弱地盤の問題で、防衛省は15日、改良工事の検討内容をまとめた報告書を国会に提出した。海上からの地盤改良に3年8カ月を要することなどが盛り込まれ、これまで指摘されてきた工事の長期化や、日米が合意している普天間飛行場の「2022年度以降」の返還が遅れることが裏付けられた。地盤改良の工期を政府が公の場で示したのは初めてで、完成したとしても、その後20年間で40センチの地盤沈下が見込まれることも明らかになった。
辺野古新基地建設は当初埋め立て5年、施設整備3年の工期が計画されていた。これに地盤改良が加わることになるが、工事実施には県に計画変更を申請し承認を得る必要があり、着手できる見通しは立っていない。地盤改良は海上からの工事に3年8カ月のほか、浅瀬部分の陸上でも約1年の工程が予定される。
報告書は、県の埋め立て承認撤回を受けた行政不服審査請求で防衛省が国土交通省に提出しているもので、国会審議で審査を理由に詳細を明かさない防衛省に対し、野党が提出を求めていた。軟弱地盤は最も深い地点で水面下90メートルに達しているが、防衛省は70メートル地点までの改良工事で安定性を確保できるとしている。
防衛省はこれまで、軟弱地盤の改良について羽田空港や関西空港の例を挙げ「沈下が起こることは一般的で珍しいことではない」と説明してきた。辺野古の工事では、あらかじめ埋め立て部分をかさ上げするなどの工法が検討されており、追加費用がかかるほか完成後も定期的な補修が必要になるとみられる。
報告書の提出に先立つ15日の参院本会議で、岩屋毅防衛相は「相応の期間」で地盤改良や埋め立て工事を同時並行で進めることが可能だと強調した。
だが、全体の工期については今後十分な検討を要するとして「現時点で確たることを申し上げることが困難だ」と述べるにとどめた。