作業場予定地にも軟弱地盤 辺野古埋め立て ケーソン仮置き場


この記事を書いた人 アバター画像 桑原 晶子

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、埋め立て区域外の北の海域で三つ設置予定だった「海上作業ヤード」の建設を沖縄防衛局が断念したのは、その海底にも軟弱地盤が広がっていることが理由とみられることが分かった。海上作業ヤードは、水深が深い部分の護岸建設に使用するケーソン(鉄筋コンクリート製の箱)の仮置き場として使う予定だったが、防衛局は2017年に設置工事を断念した。仮置き場をどこに設置するかは未定。軟弱地盤の改良工事だけでなく、仮置き場の確保も、工期の長期化に影響を与えそうだ。

 防衛局は埋め立て予定地での軟弱地盤の改良工事を予定しているが、海上作業ヤード部分は含まれていない。

 防衛局が国会に提出した改良工事の検討内容をまとめた報告書で明らかになった。海上作業ヤードは海底に大量の石材を投下して造られる台座のような構築物。その上に仮置きするケーソン38基は県外で造られ、海上をえい航して沖縄まで持ってくる。38基全てをすぐには設置できないため、仮置き場が必要となっていた。軟弱地盤の上に作業ヤードを造ることは難しく、仮に1基約7400トンの大型ケーソンを置けば転倒、沈下してしまう危険性がある。

 予定通りの場所で海上作業ヤードを設置する場合は地盤改良工事が必要となる。だが防衛局は環境保全図書の中で、海上作業ヤードは環境保全を考慮して工事終了後に撤去するとしているため、原状回復が不可能な地盤改良工事はできない。土木技師で沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏は「仮に海上作業ヤードの設置場所を変えても、新たなボーリング調査や環境影響評価、設計概要の変更申請が必要だ。軟弱地盤が一帯に広がる大浦湾で仮置きする場所を見つけるのは難しいだろう」と指摘した。

 海上作業ヤードを使った工事は、埋め立て予定地の地盤改良工事を終えた後に実施される。政府は今後、地盤改良工事をするための計画変更を県に申請する方針だが、計画の変更には知事の承認が必要となり、着手できる見通しは立っていない。