3頭しかいないジュゴンの1頭が死んだ 残る2頭は辺野古の海上工事着工後、行方不明


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メスの個体Bとみられるジュゴン=19日、今帰仁村の運天漁港

 米軍普天間飛行場の移設に伴う沖縄県名護市辺野古の新基地建設で、沖縄防衛局はジュゴンの調査を工事着手前から調査し、3頭を確認していた。海上工事着手後、これまでに2頭の行方が分からなくなっており、今回死んだのは2019年2月まで唯一確認されていた1頭だった。沖縄防衛局は「工事の影響はない」と関連を否定するが、防衛局の調査で、生息状況に変化が生じていることは明らかになっている。

 防衛局は14年8月から海上にブイなどを設置し、海底ボーリング調査を始めた。以降、辺野古崎付近の藻場でジュゴンの食(は)み跡が確認されなくなった。辺野古に近い嘉陽に出現していた1頭(個体C)は9月以降、古宇利島付近に移動したのが確認されたが、15年6月を最後に姿を消していた。別の1頭(個体A)も嘉陽に頻繁に出現していたが18年9月以降、行方が分からなくなった。

 嘉陽周辺の海草の食み跡も18年9月以降は減少傾向となった。最多時には辺野古、嘉陽、安部で月に計120本見られた食み跡が、12月と19年1月にはどの地点でも見つからなくなった。防衛局が環境影響評価書でまとめた3頭の特徴をみると、今回死んだジュゴンは、左腰の「へ」の字型のへこみなどから、個体Cの親とされるメスの個体Bとみられる。