土砂投入阻止で提訴へ 沖縄県、官邸の中止拒否受け 「岩礁破砕」は上告せず


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 沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、玉城デニー知事が19日の安倍晋三首相と会談で求めた埋め立て工事の停止と約1カ月間の協議の要請に対し、官邸側が新たな埋め立て区域への土砂投入を既定方針通り25日に行うと県に回答したことが20日、関係者の話で分かった。県は辺野古の工事が止まらない限りは、埋め立て承認撤回の効力を一時停止した国土交通相の執行停止決定は違法だとして、執行停止の取り消しを求めて国を相手取った訴訟に踏み切る。提訴期限となる22日まで官邸側の対応を確かめた上で最終決定するが、同日中に福岡高裁那覇支部に提訴する見通しが強まっている。

 一方で、岩礁破砕差し止め訴訟の上告審については、玉城知事が19日の会談で安倍首相に約束した通り、上告を取り下げる方針に変わりはないとみられる。

 新たな区域への土砂投入や埋め立て工事の停止がされない中で、沖縄に「寄り添う」とした安倍首相の姿勢が問われるとともに、玉城県政にも、司法手続きで国に譲歩を示す政治判断が結果的に空振りとなった経緯で説明が求められそうだ。

 昨年12月に辺野古沿岸への土砂投入を強行した沖縄防衛局は、現在の投入区域に隣接した新たな工区(約33ヘクタール)の埋め立てに着手するとして、県赤土等流出防止条例に基づいて工事の開始予定日を25日と通告している。これに対し辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議が16日に那覇市で開いた集会に1万人(主催者発表)が参加し、新たな土砂投入の中止を求めた。

 玉城知事は県民投票後2度目となる19日の官邸での会談で工事の停止と県との協議を安倍首相に求めるとともに、「対話のための環境づくりに努めたい」として、岩礁破砕差し止め訴訟の上告取り下げを伝えた。国の執行停止に対する提訴については玉城知事は「政府の対応次第で検討する」として、政府の回答を見極める姿勢を示していた。
 (与那嶺松一郎)