校長先生、卒業生に物語をプレゼント 児童のエピソード詰まった8編 「面白い」との感想に背中押され


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金城毅校長(中央)の作品を読み比べた(左から)野原航太君、山城望君、平田永愛さん、徳村美来さん=11日、糸満市の米須小学校校長室

 【糸満】沖縄県糸満市立米須小学校の金城毅校長(60)は今月末の定年退職を機に「短編小説集 午前零時の歴代校長会議」(ボーダーインク)を自費出版し、6年生33人に卒業記念として贈った。8編を本好きな6年生4人に読んでもらい、児童たちの感想を基に掲載順を決めた。3人が「面白い」と評価した短編「ハーモニー」を最初に載せた。金城校長は「子どもたちの『面白い』がなかったら出版まで踏み切れなかったと思う」と“小さな編集者たち”に感謝した。

 教師生活38年の金城校長は、出会った子どもたちとのエピソードをヒントに、10年ほど前から物語を書き始めた。2018年には「お父さんからの手紙」で第30回琉球新報児童文学賞で佳作を受賞した。

 小説集には「お父さんからの手紙」など8編を掲載した。将来は小説家になりたいという平田永愛(えな)さん(12)は「ハーモニー」について「(登場人物の)清君と陽子ちゃんの気持ちに共感できる。最高に面白い」と感想を話す。

 唯一「午前零時の歴代校長会議」が一番面白かったという野原航太君(12)は「題名からは分からない、命の大切さが感じられる」とその魅力を語る。

 金城校長は米須小学校大度分校の児童を含めた6年生33人に本を卒業記念で贈った。児童たちに「人の評価を気にしないで、自分らしい人生を送ってほしい」とエールを贈った。

 「午前零時の~」は500冊を出版し、200冊を県内書店で販売する。1500円(税別)。