米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、埋め立て承認撤回の効力を一時停止した国土交通相の執行停止決定について、22日、県が決定取り消しを求めて福岡高裁那覇支部に提訴できる期限を迎える。県は提訴に踏み切る方針を固めており、22日に政府の対応を確認した上で最終決定する。
玉城デニー知事は安倍晋三首相との会談で工事の停止と1カ月間程度の協議を要請したが、政府は25日に予定する新たな区域への土砂投入を既定方針通りに実施すると県に伝えている。県が撤回の効力を巡って法廷闘争に突入するのは初めて。辺野古新基地建設を巡る問題は再び重大局面を迎える。
埋め立て承認を巡っては、県が2018年8月に撤回に踏み切り、新基地建設は法的根拠を失って工事が止まった。その後、沖縄防衛局は行政不服審査制度を使って国交相に撤回の執行停止と審査を求めた。国交相は執行停止を決定し、防衛局は工事を再開した。
執行停止を巡る裁判では、防衛局による行政不服審査制度の利用が違法かどうかが争点となる。県は、国固有の立場で埋め立ての承認を受け、その後に撤回された政府が同制度を利用するのは違法だと指摘している。これに対し政府は私人と同じ立場で承認を受けたとし、同制度の利用は適法だと主張する。県は18年11月に国交相の決定取り消しを求めて国地方係争処理委員会に審査を申し出たが、同委員会は19年2月、県の訴えを却下した。