政治

検証・県民投票1ヵ月 国、民意顧みず

 2月24日に投開票された辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票から、24日で1カ月が経過した。埋め立て「反対」票が投票総数の7割を超す結果が示されながら、政府は辺野古新基地の工事を止めず、25日には新たな埋め立て区域に土砂を投入しようとしている。この国の民主主義の在り方が問われているが、国会で連日にわたり米軍普天間飛行場の辺野古移設問題が議論となるなど沖縄から起こした波紋はなお広がりを見せようとしている。また、当初は危ぶまれた全市町村での投票実施が実現し、投票率が過半数の52・48%となるなど成功を収めた一方で、投票事務を拒否していた5市の責任追及があいまいになったことを指摘する声も根強い。改めて全県実施の経緯を振り返る。

県と市町村対等 地方自治法壁に/県、5市に「義務」強制できず

 県民投票の実施に必要な経費は、市町村分も含めて県が補正予算を組んで全額支出することに決まっていた。県の補正予算から市町村に交付されることに伴って、市町村議会でも手続き上、歳入と歳出を明記した補正予算案を編成して可決する必要があった。

 昨年12月、多くの市町村議会では補正予算が賛成多数で成立し、県民投票の実施が確定した。しかし宜野湾市議会では10対15、沖縄市は12対17、うるま市は12対16、宮古島市5対17、石垣市9対11で反対多数となって否決されたり、県民投票の関連予算を除いた修正案が可決されたりした。

 これを受け、5市はもう一度採決にかける「再議」にも付したが、結果は覆らなかった。5市以外でも県民投票予算案が否決された自治体はあったが、再議で可決したり、「投票の機会を奪うべきではない」との首長の判断で予算執行に踏み切ったりして、投票実施が決まっていった。

 県は、再議で否決された場合でも、「首長には予算を執行する義務がある」(謝花喜一郎副知事)との見解を示し、5市にも予算を執行するよう訴えた。県民投票予算は「義務的経費」に当たるため、地方自治法に基づいて市町村長に支出する権能が与えられているというのが、県側が5市に求めた根拠だ。

 一方、5市長は「市民の負託を受けた市議会で、2度の否決は大変重い」(桑江朝千夫沖縄市長)などとして県民投票の予算を執行せず、投票事務を実施しない意向を次々に表明。松川正則宜野湾市長は「義務経費ということで予算化し、議会に提出したので法律上やることはやった。違法とは考えていない」と、予算執行しない正当性を主張した。

 5市長が投票実施を拒んだことに対し、県は地方自治法に基づいて勧告を出した。それでも市長側は態度を変えなかった。県と市町村の対等な関係を定めた同法により、市町村に事務を強制する権限は県になく、助言や勧告、是正の要求を重ねても強制執行まではできないことを逆手に取られた格好となった。

 県は勧告に続き、より強い行政指導に当たる是正の要求を出すことも検討した。しかし、選択肢を3択とする条例改正を行えば5市でも投票が実施される見通しが付き、県と5市とのこれ以上の対立を避けるため、とどまった。最後は県が折れる形で全県実施を実現させた。