つなぐ平和の心 渡嘉敷「集団自決」慰霊祭 孫に請われ共に参列


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「みんなで戦争を知ったら平和にできるよ」と自信満々に言ってのけた侑禾さん(中央)、侑生さんのおかげで、大城シズ子さんに笑顔が戻った=28日、渡嘉敷村

 【渡嘉敷】「戦争を知りたい。慰霊祭に連れて行って」―。28日に渡嘉敷村であった慰霊祭で「集団自決」(強制集団死)を生き延びた大城シズ子さん(86)にぴったり寄り添う姉妹がいた。大城さんの孫・大城侑禾(ゆうか)さん(8)=西崎小2年=と、侑生(ゆうき)さん(7)=同小1年=だ。糸満市に住み、普段から大城さんに沖縄戦の話を聞いている。大城さんの出身地で慰霊祭があると聞いて付いてきた。2人は、つらそうな表情を浮かべる祖母を見守りながら並んで焼香し手を合わせた。

 大城さんは74年前、「集団自決」で祖母と母と妹を亡くした。叔父が手りゅう弾を爆破させようとしたが不発で、棒でたたかれ命を失った。大城さんも首の後ろを強打されたが、周囲の死体に頭を突っ込み、死んだふりをして生き延びた。
 「慰霊祭が近づくと眠れない」。涙を拭いながら沖縄戦を振り返る大城さんを見て、侑禾さんが「泣いちゃった」としょんぼりした。「話をするときはいつも元気ない。当たり前だよね。悲しい話を一生懸命話してくれるのも、大事なことだって分かる」。大城さんの腕を握って、侑禾さんが真剣な表情で言った。
 「体験談の本もたくさん読んだ。ひめゆりの塔にも健児之塔にも行った。なんでこんなに死ななきゃいけなかったのか分からない」。侑生さんも隣で話し始めた。「分からないことがあるから、もっと戦争のことを知ろうと思う」
 「おばあちゃん大丈夫だよ。みんなでなら平和にできるよ」。侑禾さんが言った。侑生さんも「一人だったら無理だから、みんなに(聞いたことを)教えたらできるかも」と続いた。自信満々に話す2人に大城さんは「頼もしい」と言って笑い、その表情を見た侑禾さんと侑生さんにも、ぱっと笑顔が咲いた。 (嘉数陽)