比嘉、上江洌さん最優秀 宮森小事故 平和メッセージ711点


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最優秀賞を受賞した(左から)比嘉百亜さん、上江洌詩瑠久さん=29日、県庁

 沖縄県うるま市石川(旧石川市)の宮森小学校への米軍機墜落から6月30日で60年を迎えるのを前に、石川・宮森630会が募集した平和メッセージ作品の入賞者が決まった。同会の久高政治会長や、児童・生徒部門で最優秀賞を受賞した比嘉百亜(もあ)さん(18)=金武町=と上江洌詩瑠久(しるく)さん(18)=那覇市=らが29日、県庁で記者会見した。久高会長は「文芸作品で心情を抽象的に捉え返し表現することは、事件を幅広く伝えていくことになる」と意義を語った。

 詩、短歌、俳句、琉歌の各部門で711作品の応募があった。

 詩部門で受賞した比嘉さんは「私は今」と題して遺族の気持ちを表現した。宮森小出身の母から話を聞いたり、資料で調べたりして1カ月掛けて仕上げた。「遺族が勇気を持って証言してくれたから調べられた。感謝しながら、県外にも発信したい」と語った。

 俳句部門の上江洌さんは、平和を願う気持ちと沖縄の現状から2句を詠んだ。「沖縄が基地問題を訴えても国は聞いてくれない無力さをうたった。沖縄戦で亡くなった人の叫びや泣き声を『蝉(せみ)時雨(しぐれ)』に込めた」と解説した。

 選考委員の大城貞俊さんは「琉球処分から基地問題まで、歴史を踏まえて墜落事件を考える作品が多かった」と講評した。