〈3〉膵臓がんと光明 エコー検査、受けよう


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 「暗黒臓器を照らす明日の膵臓(すいぞう)研究」。このテーマが何だか分かりますでしょうか?

 これは一昨年に行われた日本膵臓学会大会のメインテーマです。膵臓がんは早期発見が困難なため、大部分は進行した状態で見つかります。5年後の生存率は約8%とされており、その生存率の低さゆえに暗黒臓器と表現されます。また2018年のがん統計予測によると、膵臓がんにかかる方はがん全体の6番目と決してまれではなく、誰しもがかかりうる病気です。

 膵臓がんを早期に見つけるためにできることは、ないのでしょうか? 膵臓がんになりやすい方は、年齢(60歳以上)、喫煙、飲酒、肥満、糖尿病、慢性膵炎(すいえん)、膵嚢胞(すいのうほう)、家族歴が挙げられます。大部分は生活習慣と関係があり、糖尿病の方は約2倍、膵臓がんになりやすいとされています。また家族内に膵臓がんの方がいらっしゃる場合は1・6~3・4倍とされています。これらの要因がある方は、特に意識して検査を受けるべきでしょう。

 検査として有用なものには、腹部エコー検査、コンピューター断層撮影(CT)検査、磁気共鳴画像装置(MRI)検査などがあります。検診でお勧めするのはエコー検査です。膵臓がんは、膵管(すいかん)と呼ばれる、食べ物を消化する膵液(すいえき)の通り道から発生するため、がんによって出現する膵管の拡張や膵嚢胞がないか確認します。

 ある取り組みでは、先ほど挙げた危険因子を二つ以上有する患者さんにエコー検査を行い、膵管拡張または膵嚢胞があればより詳しい検査を行うことで早期発見率が上昇し、5年後の生存率が約20%まで向上しています。まだまだ十分とは言えませんが、少しずつ希望と光が見えてきています。

 最後になりましたが、ぜひ腹部エコー検査を受けてください。検査で要精査の場合は放置しないで病院を受診してください。それが早期発見の第一歩であり、あなたの人生が変わるかもしれません。
 (馬渕仁志、那覇市立病院 消化器内科)