「沖縄とつながれたことを誇りに思う」。県系2世で米国人のナタリー・アン・ヤスミネさん(52)=米ジョージア州=が親族捜しのために9日から来沖し、県内の親類との対面を果たした。県職員ら複数の協力を得て、異国の地で早世した母親のルーツを探し出した。19日に帰国の途に就くヤスミネさんは「今度はきょうだいを連れて沖縄に帰って来る」と親族との再会を誓った。
2014年、父親のロバート・ジーン・シャックさんから古びた書類を託されたのが、ルーツ探しの旅に出るきっかけだった。
書類は1990年にがんで亡くなった母節子さん(享年50)の戸籍。節子さんは大阪で暮らしていた頃、空軍兵だったロバートさんと出会い結婚。コネチカット州に居を構え、三女のヤスミネさんを含む1男4女を育てた。ただ、渡米後の節子さんは子どもたちに日本のことをほとんど語らず、沖縄出身であることも知らせていなかった。
「ミステリーのような彼女の人生を知りたい」。書類を預かった7カ月後に父が81歳で亡くなったこともあり、「今やらなければ二度とできない」と母の足跡をたどろうと決意した。
東風平村(当時)と記された戸籍を頼りに、「世界のウチナーンチュ大会」関連事業で県立図書館の職員が海外在住の県系人のルーツ探しを手伝っていることを知った。そこから八重瀬町職員の新里尚美さんにつながり、祖父方の親類、新垣清正さん(65)=同町=と出会うことができた。
「ちょうど私も家系図作りの最中で、節子さんの消息をたどっていたところだった」と新垣さん。祖母方の親類、金城聡さん(53)=那覇市=とも対面を果たした。ヤスミネさんは「私の人生には何かが足りないと思っていたが、沖縄でその答えが見つかった。ここで家族を見つけられて誇らしい気持ちだ」と笑顔を輝かせた。
(安里洋輔)