沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、国土交通相が県による埋め立て承認撤回処分を取り消した裁決は違法だとして、新基地建設に反対する埋め立て海域周辺に暮らす名護市民16人は19日、国を相手に裁決の取り消しなどを求める訴訟を那覇地裁に起こした。
原告らは1月、埋め立て承認撤回処分に対する国土交通相の執行停止を取り消そうと、那覇地裁に提訴していた。
国交相が今月5日、撤回処分を不服とした沖縄防衛局の審査請求を認め、撤回は違法だとして取り消す裁決を下したため、これまでの訴訟から裁決を取り消す訴訟に切り替えた格好になる。
1月の訴訟は既に第1回口頭弁論が行われており、5月23日に第2回口頭弁論が予定されている。訴訟代理人によると、その日に新たな訴訟の第1回口頭弁論を行えるよう裁判の併合を求めているという。
訴状などによると、国民の権利利益の救済を図る行政不服審査法上、国の機関である沖縄防衛局は適用除外となる「固有の資格」に当たり、同法を利用できないことや決定を下した国交相は辺野古移設を「唯一の解決策」として方針を共有する内閣の一員であり、中立的で第三者的な審査庁にはなり得ないことなどを主張する。