〈4〉新型たばこ 有害成分含み対策必要


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 たばこ対策の遅れているわが国でオリンピックが近づき、昨年やっと改正健康増進法が成立しました。しかし残念ながら先進諸国同様の屋内全面禁煙にはいたっていません。そのような中、わが国では近年いわゆる「新型たばこ(加熱式たばこ、電子たばこ)」が普及してきています。新型たばこは害が少ない、他人に迷惑をかけない、禁煙に移行しやすい、との触れ込みがありますが、いずれも問題があります。

 まず、害が少ないという点について、わが国で主に流通している加熱式たばこは、エアゾル中に通常のたばこと同程度のニコチンのほか、発がん性のある多環芳香族炭化水素類、金属および放射性物質等が含まれています。電子たばこにも、気道への障害作用や器質化肺炎を起こす等の物質が含まれます。「ニコチン非含有」との銘柄も、実際には約半数にニコチンが含まれていることが明らかになっています。

 次に、副流煙がなく周囲の人に害がないとの点について、電子たばこでは大量のエアゾルが見えますが、加熱式たばこは確かに煙は見えにくいです。しかしレーザーを当てると大量のエアゾルが発生していることが分かり、そこには発がん性物質等の有害成分が高濃度で含まれます。副流煙対策が必要です。

 禁煙補助の役割については、加熱式たばこが不可であることは言わずもがなです。電子たばこは禁煙に役立ったとの報告もありますが、20件ほどの科学的な検討結果では、電子たばこ使用群の禁煙率は不使用群より28%低いとの結論です。また電子たばこの使用により、非喫煙者や既喫煙者が通常たばこの喫煙に移行することが増え、問題となっています。いずれにせよ電子たばこも有害であり、使用は不適です。

 新型たばこの有害性は明らかです。通常のたばこ同様の対応・対策が必要です。誤った喧伝(けんでん)・見識を見直し、新型たばこを使用する方はご自分の健康はもちろん、周囲の方々も大切に、早急に禁煙しましょう。ご自分での禁煙が困難な方はお近くの禁煙外来でのご相談をお勧めします。
 (久場睦夫、県健康づくり財団附属診療所 呼吸器内科)