【アメリカ】論文コンテスト 大学生ら3人表彰 沖縄文学など研究


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沖縄論文コンテストで受賞した(左から)ニナ・ウダガワさん、クリスティン・マリ・インザーさん、ヒルソン・レイドパスさん

 沖縄県とジョージ・ワシントン大学沖縄コレクション共催による沖縄論文コンテストの表彰式が3月19日、米首都ワシントンDCのジョージ・ワシントン大学メルヴィン・ジェルマン図書館であった。ワシントンDC、メリーランド州、バージニア州、ハワイ州の大学や大学院で学ぶ学生を対象に沖縄関連の学術研究の論文を募集し審査の結果、上位3人を選出した。表彰式では、受賞者がそれぞれ論文を発表した。

 1位はハワイ大学博士課程のヒルソン・レイドパスさんによる、山之口貘の詩を通して沖縄人のアイデンティティーの葛藤を考察する論文だった。本土の日本人からの偏見や差別についても指摘した。

 2位はリッチモンド大学の卒業生、クリスティン・マリ・インザーさん。論文は「現代沖縄文学における戦後沖縄の記憶」がテーマ。大城立裕ら3人の県出身作家の作品を通して、戦後の沖縄が依然、抑圧下にあるという見解を発表した。

 3位はジョージ・ワシントン大学のニナ・ウダガワさんで、沖縄のアメラジアンが置かれた背景を分析した。アイデンティティー・クライシスを脱し自己肯定へつながった経緯を研究した。受賞者3人には賞金が贈られた。今夏に沖縄へ招待される予定。

 県ワシントン事務所の運天修所長は「米国の学生が米軍基地問題を含む沖縄の文化、経済、歴史、政治、社会について研究する事によって、沖縄のさまざまな課題に対する理解を促進する事を目的にしている。沖縄と米国の若者が対話し、共に理解を深め良い関係を構築していく一助となる事を願う」と述べた。

 (鈴木多美子通信員)