〝眠れる泡盛〟世に 宮古の千代泉 誇酒プロジェクト 新たな命吹き込む


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
千代泉の原酒を使った31/32のボトルをかざす泡盛倉庫の比嘉康二店長=24日、那覇市久米の泡盛倉庫

 廃業した千代泉酒造所(宮古島市)の泡盛原酒が、泡盛販売などに関わる関係者らの熱意で再び世に出ることとなった。沖縄県那覇市久米の泡盛専門バー泡盛倉庫の比嘉康二店長らが取り組む「誇酒(こしゅ)プロジェクト」の一環で、同酒造所の千代泉43度が「31/32」と名称を改めて販売される。比嘉店長は「プロジェクトを通して泡盛の奥深さ、良さを多くの人に広めたい」と語った。

 誇酒プロジェクトでは、後継者が見つからずに2018年3月に廃業した千代泉酒造所の泡盛約2万リットルをタンクごと買い取り、他の酒造所と連携した商品を開発・販売してきた。31/32は千代泉の原酒を100%使い、加工せずそのままの味を再現している。製造年の記録がなく古酒表示はできないが、少なくとも10年は経過しているという。これまでも少量を販売してきたが、安定的に供給できる体制が整った。

代泉の原酒を使った31/32のボトル

 31/32の名称には二つの意味を込めた。一つは原酒が保存されていたタンクのナンバーが31番と32番だったこと。もう一つは千代泉が廃業した18年3月末の31日に掛けて「次の1日を迎えられなかった千代泉に32日という特別な1日を与え、そこから新たなステージ、命が始まるというイメージを持たせた」(比嘉店長)という。

 ボトルは原酒タンクの形を参考にしたほか、透明にすることでクリアで繊細な印象に。原酒の量が限られており、売り切れ次第販売終了となる。500ミリリットルで税込み1万2980円。問い合わせは泡盛倉庫(電話)098(869)0808。