「令和」へと改元された1日、新時代の幕開けとなる記念すべき日に沖縄県内各地では次々と新たな命が誕生した。「平成」から令和にかけ、時代をまたいで分娩(ぶんべん)の痛みに耐えた母親、母親の胎内にいる赤ちゃんに新時代での対面を呼び掛け続けた家族―。各地の病院で、さまざまな命のドラマが繰り広げられた。
那覇市安謝の仲地レディースクリニックでは午前1時47分に公務員の比嘉貴之さん(39)と幸代さん(39)=沖縄市=の長女、逢乃ちゃんが生を受けた。「平成」最後となった前日の4月30日夕方から8時間以上も分娩の痛みと戦う幸代さんのかたわらでは、長男の中学1年、永遠さん(12)が幸代さんのおなかに「令和だよ」と呼び掛け続けた。幸代さんは「人との出会いを大切にしてほしい」とわが子の成長に思いをはせた。
同市首里汀良町の伊波レディースクリニックでは午前0時から同9時にかけて、5人の「令和ベビー」が元気な産声を上げた。
伊波一郎院長は「普段の出産数は1日平均2~3人で、5人はかなり多い」と顔をほころばせた。
この日選んでくれた うるま市・仲村渠さん、令和ベビー誕生喜ぶ
新たな時代を迎えた1日、県内各地で生を受けた「令和ベビー」たち。それぞれの家族は誕生を喜び合うとともに、わが子の輝ける未来を願って命名した。
沖縄市美里の産婦人科医院あいレディースクリニックでは午前0時9分、うるま市の会社員仲村渠博之さん(37)と恵理さん(37)夫妻の次男、翔茉(しょうま)ちゃんが誕生した。
体重2984グラムの元気な男の子。命名に当たり「新しい未来に向け、自分の好きな道で羽ばたいていけるように」との願いを込めた。出産前の検診で赤ちゃんの心拍に乱れがあったため、当初の予定日より2週間早い出産となった。
恵理さんは妊娠中に体調を崩すことがたびたびあり、入退院を繰り返した。「無事に出産ができるのか」との不安が尽きない中で出産の時を迎えたが、無事わが子との対面を果たした。元気な産声を聞いた時には「思わず涙が出た」。
「令和」初日の誕生になったことに、博之さんは「この日を選んで生まれてきてくれた」とにっこり。生まれたばかりの愛息の寝顔をいとおしそうに見つめた。
そろって笑顔
瑞慶山優子さん(29)は長男・結斗ちゃん、比嘉三鈴さん(37)は次男・凰葉ちゃん、新垣稚乃さん(31)は次女・莉碧(りのあ)ちゃん、仲本ひとみさん(44)は初めての男の子、野原祥子さん(32)は次男・蒼生(あおい)ちゃんを那覇市の伊波レディースクリニックでそれぞれ出産した。
「調和」結ぶ子に
仲地レディースクリニックで次女・知念果奈ちゃんを出産した明奈さん(36)と夫で会社員の績司さん(41)=浦添市。「美しい調和を意味する令和の時代に合った、周囲といい関係を結べるような子に育ってほしい」
元気よく育って
大城彩香さん(29)=名護市=は自動車整備士の卓也さん(29)が見守る中、名護市のたまき産婦人科で次男・裕翔(ひろと)ちゃんを出産。「元気よく、たくましくすくすくと育ってくれたら」と願いを寄せた。