【キラリ大地で】アメリカ バーベキュー店を経営 よしえ・ダンニングさん(那覇市出身)


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商売の経験ゼロからビジネスの世界に飛び込み、バーベキュー店を経営するよしえ・ダンニングさん

 米国民から愛されているソウルフード、バーベキュー。テキサス州やルイジアナ州などのディープサウスは、米国の歴史と土地柄に反映された伝統的なバーベキューを生み出した地だ。那覇市出身のよしえ・ダンニングさん(47)=旧姓・嘉手納=と夫のロバートさんは7年前、ルイジアナ州ニューオーリンズに、バーベキューの店「DICKEY‘S」を開店させた。

 「夫が突然、『サインして』とフランチャイズの申請書を持って来た。軍人の夫も私も商売の経験はなかったし、人生の大きな転機だった」と振り返る。テキサスで3週間の研修に夫婦で参加し、地元に戻って開店にこぎつけた。未知なるビジネスの世界に飛び込んだよしえさんは「オープン当初は、まだ手の掛かる3人の子どもの世話もあり、寝る間も惜しんで朝から晩まで働き詰めだった。大きな投資だったので失敗は許されないという思いでいっぱいだった」と語る。

 だが、マネジャーに売上金を持ち逃げされたり、従業員の指導に悩み精神的に落ち込んだりもした。日本式の丁寧な接客を指導したくてもなかなか思うようにならず「人を雇う事の大変さを実感し自分との葛藤が続いた」

 沖縄に10年間滞在した経験のあるロバートさんは接客にこだわるよしえさんの気持ちをくんでくれた。周りの友人らも応援した。夫婦の努力が功を奏し、店は繁盛。2号店を出し、2年前には3号店を開店した。

 沖縄の基地内大学で会計学の資格を取得したよしえさんは売り上げなどの入力計算作業に加え、ケータリングの配達などの手配も担う。

 商売の楽しみを味わえるようになってきた今、「いい従業員に恵まれ、店で起こるいい事、嫌な事を共にシェアできるようになった」と笑顔だ。将来は、沖縄の伝統芸能や工芸をニューオリンズの地で紹介する文化の懸け橋になれたらという夢を持っている。

 (鈴木多美子通信員)