名護市辺野古の新基地建設を巡り、防衛省が軟弱地盤の改良工事に使用する作業船について、国内のみならず国外からの調達も検討していることが7日までに分かった。工事長期化が米軍普天間飛行場の固定化につながるとの批判を踏まえ、工期を短縮できるよう調整する。岩屋毅防衛相は同日の会見で「合理的な設計施工が工事を早く終わらせ、普天間を早く返還するのに資する」と述べ、今後必要な県への設計変更の早期申請や工期短縮に前向きな姿勢を示した。
防衛省が国会に提出した地盤改良に関する報告書では、海上からの地盤改良に3年8カ月、陸上で実施する地盤改良に1年1カ月の工期を見込む。「サンドコンパクションパイル工法」と呼ばれる改良には最大11隻の国内の作業船を投入する計画だが、同省によると国内に使用可能な作業船は15隻しかなく、国外からも調達できるよう検討する。
岩屋氏は7日の会見で「できるだけ早く設計を行い、できるだけ早く県側と真摯(しんし)に話をして工事を着実に進めたい」と強調した。同日国会内であった野党の合同ヒアリングで、防衛省の担当者は作業船の海外調達について今後の具体的な検討の中で「十分に精査をしていきたい」と説明した。
ただ報告書では作業船が同時期に集中しないよう工程を調整することで騒音や大気質、海中生物といった環境への影響を当初の想定内に抑えることができると指摘している。作業船を増やし工事短期化を図ることはこれに逆行し、環境負荷の増大は避けられないとみられる。