沖縄関係予算とは? 政府は基地問題とリンク否定も、減額で裁量狭まる県裁量


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 戦後27年間の米国統治で沖縄は県外よりも戦後復興が遅れ、米軍基地の拡大で基地依存型の輸入経済構造を強いられた。日本復帰後も残った米軍基地の集中という社会的事情、離島県の地理的事情、沖縄戦の歴史的事情が沖縄振興の起点となった。

 復帰と同時に施行された沖縄振興開発特別措置法(現在の沖縄振興特別措置法)に基づき、日本政府が沖縄関連の直轄事業や交付金を取りまとめてきた。

 5次にわたる振興計画による沖縄関係予算は、2019年度までの総額で約11兆6800億円となっている。

 1972年から3次30年の沖縄振興開発計画で道路や港湾などのインフラ整備が進められた。2002年の第4次計画からは沖縄振興計画となり、12年には県や市町村が自由に使える一括交付金が創設された。現在は県策定の沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」に沿って「沖縄らしい優しい社会の構築」と「強くしなやかな自立型経済構築」を基軸に施策を展開している。

 沖縄関係予算について、政府は基地問題とリンクしないという立場だが、米軍普天間飛行場の移設を巡り連動が強まる傾向にある。仲井真弘多知事(当時)が13年に名護市辺野古の埋め立てを承認して以降、毎年3千億円超が計上されているが、新基地建設に反対する翁長雄志前知事や玉城デニー県政下で総額や一括交付金が目減りし、国直轄事業の割合が増加している。県の裁量を狭める狙いも透ける。

 今後、県は振興計画を総点検し、22年度以降の新しい振興計画の策定に着手する。玉城知事は持続可能な開発目標=SDGsの沖縄版にも取り組む方針だ。人や環境に優しい社会と道半ばの自立型経済の構築へ向けて一層の構想力が求められる。