島社会での差別検証 ハンセン病学会、八重山で初開催


この記事を書いた人 大森 茂夫
八重山におけるハンセン病問題について意見を交わした市民学会の交流集会=18日、石垣市民会館中ホール

 【八重山】全国のハンセン病回復者や支援者らでつくる「ハンセン病市民学会」の第15回総会・交流集会が18日、石垣市で開幕した。初開催となる八重山集会には約300人が参加した。「島を出た八重山人たち」をテーマにしたシンポジウムが行われ、八重山におけるハンセン病問題について考えた。市民学会は20日までで、19日からは宮古島市で開催される。

 県内開催は2年連続3回目。統一テーマは「みるく世向かてぃ~差別に屈しない~」で、ハンセン病問題の解決を目指して議論を深める。八重山集会では「闇ぬ世から太陽ぬ世へ」との独自テーマを設定し、「ハンセン病への理解が低い」(大田静男八重山集会開催地実行委員長)とされる八重山で、どのように理解を深めていくかについて探った。

 八重山出身回復者3人や大田氏によるパネルディスカッションのほか、ハンセン病家族訴訟についての弁護団報告などがあった。

 総会で市民学会の遠藤隆久共同代表は「島社会の中でのハンセン病差別の苦しさを真正面から取り上げたのは今回が初めてだ。なぜ厳しい差別の社会になったのかを十分検証することで、声を上げられない回復者の現状改善につなげたい」と話した。

 19日は宮古島市のマティダ市民劇場で交流集会が開かれ、療養所の入所者自治や回復者の医療・生活支援の体制づくりについて意見を交わす。