アメリカの大学生が見た沖縄 かつての敵同士の名前を一緒に刻む「平和の礎」の前で感じたこと


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18歳で沖縄戦を経験した渡口彦信さん(右から2人目)の話を聞く米ミシガン大学の学生ら=19日午後、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 【糸満】米ミシガン大学で歴史学を教える沖縄県系3世のロイ・ハナシロ教授と同大歴史学部の学生14人らが19日、糸満市摩文仁の平和祈念公園を訪れ、「平和の礎」の建立に携わった高山朝光さん(84)の話や、18歳の時に沖縄戦で高射砲隊に従事して摩文仁で捕虜となり、ハワイで抑留された経験を持つ渡口彦信さん(92)の話に耳を傾けた。

 大田県政時代に知事公室長などを歴任し平和の礎の建立に尽力した高山さんは、平和の礎には軍人、民間人、国籍、宗教を問わず沖縄戦で亡くなった人の名前が刻んであると説明。1995年に平和の礎を建立する際、県民から「敵である米軍人の名前を沖縄の人と一緒に刻まないでほしい」という意見は一度も聞かなかったとした上で「戦争は憎んでも人は憎まないという沖縄の人のメンタリティが表れている」と話した。

 話を聞き終えたメーガン・ブレックさん(22)は「平和の礎から、沖縄県民の心、平和へのメッセージが伝わってくる。実際に沖縄戦を体験した人の話も聞くことができて、教室で学ぶよりも沖縄戦のことをよく知ることができた」と話した。

 学生らは4泊5日の予定で沖縄に滞在し、ひめゆりの塔や首里城などにも足を運び、歴史や文化を学ぶ。