バスの運転手がいない!沖縄で観光バスの需要増 求人2・61倍 路線バス運行本数減も


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 沖縄県内でバスの運転手不足が深刻化している。沖縄労働局によると、2018年度のバス運転手の平均有効求人倍率は2.61倍で、全業種の1.18倍を大きく上回っている。本島南部と周辺離島地域では3.63倍に達しており、全業種の1.27倍の3倍近い数値となった。運転手不足のため路線バスの運行本数を減らすなど、各社が対策を迫られている。

バス運転手の指導を受けながらバスの運転に挑戦するセミナーの参加者=29日、豊見城市

 観光客の増加に伴い県内では貸し切りバスの需要が高まっており、各社で運転手の確保が課題となっている。路線バス事業を手掛ける県内4社では、貸し切りバスと路線バスの両方を運行するために十分な運転手を確保できていないという。限られた運転手で既存の路線を維持するため、一部で運行本数を減らしている。

 バス運転手は全国的に人手不足の傾向にあるが、観光が好調な沖縄の数値は全国と比較しても高い。18年度の全国の平均有効求人倍率は、全業種の1.62倍に対しバス運転手は2.44倍となっている。沖縄は全業種では全国を下回る一方、バス運転手は全県、本島南部と周辺離島地域のいずれも全国を上回っている。

 路線バスを運行する那覇バス、琉球バス交通、沖縄バス、東陽バスは本島南部に本社を置いている。同地域に求人が集中する傾向があるため、本島南部と周辺離島地域の平均有効求人倍率は全県を上回る数値となっている。

 バス運転手の人手不足を改善するため、沖縄労働局と県バス協会は29日に「バス運転手さんのお仕事セミナー」を実施し、バス運転手の職業としての魅力や働きがいを紹介した。バス業界への就職を目指す求職者ら約20人が参加。バス各社の説明を受けたほか、バスの運転を体験する機会も設けられた。

 沖縄労働局は「バス運転手の人手不足が急激に高まっていることを受け、初めてバスに特化したセミナーを開催した。業界団体と連携した取り組みを実施することで、課題の解決につなげたい」と語った。