辺野古土砂陸揚げK8護岸使用は「問題ない」という防衛相の発言を沖縄県が「不正確」と指摘する理由


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設計変更の申請をしていない「K8」護岸(左側)を使用し、台船から埋め立て用土砂をトラックに積み込んで陸揚げする作業が確認された=11日午後1時6分、名護市辺野古(小型無人機で撮影)

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、沖縄防衛局が2カ所の護岸で埋め立て用土砂の陸揚げを始めた。岩屋毅防衛相は土砂の陸揚げ場所について「具体的に限定されていない」と説明し、新たに建設した「K8」と呼ばれる護岸を陸揚げに使っても「問題ない」とした。これに対し県は埋め立て承認願書で陸揚げ場所は明記されているとの認識を示し、岩屋氏の発言は「不正確だ」(県幹部)と問題視している。

 沖縄防衛局は2013年3月に埋め立て承認願書を県に提出し、同12月に承認を得た。願書に記載した内容に基づいて工事を進める約束だ。岩屋防衛相は「具体的な陸揚げ場所は特に限定されているわけではない」と主張したが、その根拠には工事の詳細を定めた設計概要説明書ではなく、説明書の内容をかいつまんで要約した「設計の概要」のみを示している。

 工事の進め方を、より詳しく解説した「設計概要説明書」では、先に埋め立てが済んでいる大浦湾側の埋め立て区域の「中仕切岸壁」を使って埋め立て用土砂を陸に揚げることが明記されている。県は護岸と中仕切岸壁は明確に区別されているとし、岸壁ではなく護岸を使って土砂を陸揚げすることは「願書の記載と異なる」と批判している。

 10日、県内市民団体との交渉でも防衛省の担当者は「具体的な陸揚げ場所は特に限定されていないので、K8護岸から土砂を搬入することについては問題ない」との認識を示した。市民らは詳細を記した設計概要説明書を挙げて追及したが、防衛省の担当者は同様の答弁を繰り返した。

 県幹部の一人は「岩屋防衛相の発言は、明らかに『中仕切り護岸に』(陸揚げする)という部分をあえて削除している。自分たちで出した資料を都合のいい所だけ切り取り、こんな不正確な説明をするのは極めて不誠実だ」と指摘した。

 自衛隊の地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に関する防衛省の調査結果に事実と異なる記載が見つかった問題にも触れ「やっていることを正当化するためなら何でも言うのか」と批判した。
 (明真南斗)