沖縄の消防と交流が夢 ステファニー・ゼンコロウさん 県人会会長・消防士 曽祖父の名、一族の名字に【ニューカレドニアの「日本人」】


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県人会の会長を務めるステファニー・ゼンコロウさん。ワイル地区の消防士としても活躍する=ニューカレドニアのワイル市役所

 「天国に一番近い島」として知られるニューカレドニアは実は世界有数のニッケル産地だ。ニッケル鉱山は露天掘りのため山の一部の赤土がむき出しの棚田のように見える。ニューカレドニアにはニッケル鉱山がいくつもあるが、首都ヌメアから234キロ離れているワイルは東海岸屈指の鉱山の町として、また東海岸入り口の要地として名高い。人口は4千人余、メラネシア系が90%以上を占める。

 ステファニー・ゼンコロウさんは=日系4世(43)=は県人会の会長を務める。職業はこの町の消防士だ。曽祖父は名護出身の玉城善五郎さん。名前の登録の時に氏名が入れ違い「ゼンコロウ」は一族の名字となってしまった。

 ステファニーさんはメラネシア人として育った。父方が日系であることは知っていたけれど、日本との交流はなく、メラネシア人の母方の大家族の中で育った。だが、分析好きな彼女は周りのメラネシア人と自分はどこか違うとずっと思っていたそうだ。

 自分がやりたいことは貫く性格。ヌメアの高校を卒業後、消防士の試験を受けることに、初めは父親の反対があった。地方のメラネシア人集落の人々にとって、ヌメアの学校に行くことや女性が働くことに抵抗があった。父はその後、ステファニーさんの働きぶりや暮らしぶりを見て納得したそうだ。

 「7人姉妹のうち私だけが消防士になり給料をもらう身になって沖縄へ行けた。その時初めて自分の性格が他の人と違うのは、沖縄にルーツがあるからだと分かった。今度は子どもたちを沖縄に連れていきたい。現地で経験しないと、自分を見つけるというあの感激は分からないから」。今やステファニーさんは一族の誉れになっている。

 現在ワイル地区の消防署員は17人で男性10人、女性7人だ。ステファニーさんは男女差があまりない職業だと言う。現在、ワイル地区消防署副署長のステファニーさんの夢は沖縄の消防署と交流することだ。彼女は消防士の制服がとても似合う。

(山田由美子ニューカレドニア通信員)