〈10〉アレルギー性鼻炎と気管支喘息 多い合併発症、検査必要


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 アレルギー性鼻炎と喘息(ぜんそく)の両方を発症している人がかなり多いことが知られています。最近の調査では、アレルギー性鼻炎の患者さんの2~3割程度が喘息を合併しています。喘息患者さんの多くはアレルギー性鼻炎も持っています。

 そこで近年「One way&One Disease」という概念、すなわち鼻腔(びくう)・副鼻腔から気道までを一つの器官ととらえ、そこに起きる疾患は同じものとして、総合的に診療しようという考えが提唱されています。

 喘息の患者さんがきちんと喘息をコントロールすることでアレルギー性鼻炎の症状も軽くなります。逆にアレルギー性鼻炎が悪化しそれを放置すると、不思議なことに喘息の症状も悪化してきます。

 2011年に報告された「気管支喘息患者における鼻炎合併とその影響(日本における全国横断的研究)」では、気管支喘息患者の67・3%がアレルギー性鼻炎を合併していると報告されています。

 図のように、気管支喘息患者群でアレルギー性鼻炎を合併する群は、患者と医師のどちらが記入した結果でも、喘息治療のコントロールが「不良」とする割合が多くなっています。

 鼻炎を合併する症例で気管支喘息の治療がコントロール不良となるのは、次の理由が考えられます。

 (1)口呼吸をするため気道の過敏性が上がる。口腔内が乾燥し、唾液分泌が減少して、気道から感染する頻度が上がる(2)鼻汁が気管支に流れる「後鼻漏」のため慢性気道感染の頻度が高まる(3)喀痰(かくたん)が多く、吸入ステロイドの効果が低下する。

 「One Way&One Disease」の概念で、アレルギー性鼻炎を治療すると喘息の改善が認められるとの報告もあります。治療してもなかなか改善しない患者さんは、早めに耳鼻科、呼吸器内科、アレルギー科を受診し、喘息の患者さんにはアレルギー性鼻炎が、アレルギー性鼻炎の患者さんには喘息が合併していないか、検査してもらう必要があります。
 (嘉数朝一、嘉数医院アレルギー専門医・呼吸器内科)