雨の中亡き人思い、平和願う 沖縄「慰霊の日」


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
平和の礎に刻まれた親族の名前に手を合わせる家族=23日午前7時30分ごろ、糸満市摩文仁の平和祈念公園

 慰霊の日を迎えた23日、沖縄県糸満市摩文仁の「平和の礎」には朝早くから多くの人たちが手を合わせる姿が見られた。礎に刻まれた名前は総数24万1566人。雨が降り、時折強い風が吹く中、戦争に命を奪われた大切な家族を悼み、恒久平和を願った。

 午前7時半過ぎ、平和祈念公園のシャトルバス発着所付近では、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表(65)らが、戦没者遺骨のDNA鑑定の集団申請を呼び掛けるチラシの配布を始めた。「よろしかったら是非参加を」との声に足を止めた女性はチラシを手にし「家族と相談してみます」などと話した。

 「今年もまた来ましたよ。安らかにね」。糸満市与座の賀数真栄さん(81)は、父方と母方の祖母、姉や叔父、叔母ら6人の名前がある刻銘板の前で手を合わせた。姉のシゲさんら、遺骨が見つかっていない家族が多い。国立沖縄戦没者墓苑や栄里之塔(糸満市真栄里)も訪れる予定だといい「きょうは天気が悪いね」と心配そうな表情で立ち去った。【琉球新報電子版】